第1回 ウラキャラトークセッション


正人「さあ、今日はスペシャルゲストに来ていただいております。鹿野淳さんです。よろしくお願いします」
鹿野「こんにちは。よろしくお願いします」
正人「もうね、鹿野さんはですね、昨日bookしたんですよね?」
鹿野「びっくりしました。おまけに僕、初対面ですから。こんな形でドリカムをね」
正人「いや、私ドリカムじゃないです。MCマサー。ドリカムじゃ、とてもやってられないですから(笑)」

鹿野「だいたい、これ見てくれてる方、ドリカムのファンの方が物凄い数ですよね?」
正人「いやいや、鹿っぺね、正直言って、ドリカムにあんまりファンいないです」
鹿野「どういうことですか?(笑)」
正人「ミスチルさんやB'zさんみたいにファンはいない。俺から言わせると、ドリカムはどっちかって言うと、歌のファンが多い。楽曲に付いてるファンが多い。だから、そういう意味では、今見ているドリカムのファンは絶滅危惧種くらい。とっても貴重な人達が今見てくれてる」

正人「鹿ちゃんはですね、凄い人なんですよ。紹介しちゃうとですね。2007年、音楽専門誌『MUSICA』の創刊に携わりまして。そして、2014年からは『VIVA LA ROCK』のプロデューサーってことで。鹿っぺはロキノン系出身なんですよ。出身って言えばね、ロキノン創った人ですよね?あの人と」
鹿野「ああ、渋谷さんね」
正人「言っていいんですか?その名前。僕、渋谷さんって名前を出すのも怖いです」
鹿野「ちなみに僕は1990年の4月にロキノンに入りました。ちょうどそのクールから「笑顔の行方」がテレビドラマで流れる頃に入社しまして、会社で疲れて帰ると、ドリカムやフリッパーズ・ギターが街でよく流れていて救われたので、非常に感慨深いです」

正人「ドリカムさんは、中村の話を聞くと、結構、ロキノン系に攻撃され続けたらしいですよ。あいつら、ロックじゃねえって言われて」
鹿野「ああ、産業ポップとか言われてましたね」
正人「まあ、まさに産業ポップなんですけどね(笑)」
正人「そうそう、産業ポップって…鹿っぺが言ってたんじゃないの?それ。コラムの最後のとこで。あのね、ロキノン系はね、最後のコラムのとこで、編集者のなんとかってとこで結構ドリカム攻撃するんですよね」
鹿野「(ドリカムは)ホントにあの時代の顔でしたからね」
正人「いやいや、そんなことはないですよ。って俺は知ったこっちゃないですけどね。『ドリカム、ケッ』ですから(笑)」
正人「ということでね、今日はよろしくお願いします」
鹿野「よろしくお願いします」

鹿野「そもそも、僕には、この距離でいるものですから、(MCマサーが)中村正人さんにしか見えないんですけど、なんでこれ、MCマサーなんですか?」

正人「MCマサーはですね、二十何年前にですね、ぴあのファンクソウルのイベントがありまして、そこで登場したんですよ。そこには誰が出てたかと言うと、シェリル・美和リンも出てました。あと、今、ファンク・ザ・ピーナッツになってる浦嶋りんこさん=ファンピー1号も出てたりなんかして、結構ね、濃いイベントだったんですよ」
鹿野「重鎮ばかりじゃないですか!」
正人「その頃はね、重鎮じゃなくって、そのイベントやらせてもらえるだけでも嬉しかったんですけど。そこでMCマサーは初めて登場してます」

鹿野「(MCマサーは)二子玉川ファンク研究所所長されてるそうで」
正人「ええ、まあ、うちの事務所が二子玉川にありまして」
鹿野「そこで日々ファンクの研究をされてるわけですか?」
正人「ええ、やっぱり、今、バーッっと星野源くんもきてますんで。だからこう、ファンクっていうものが、一回り二回り三回りくらいして、またJ-POPとこう融合してるじゃないですか? スガくんも一生懸命やってるし。そういう意味では、今、J-POPにファンクなんじゃないかって。…え、今、みんな、遅れてるって言ってますか?」
鹿野「いやいや、そんなことはないんですけど。源ちゃんも、スガくんも、あと、岡村靖幸さん、みんな、(MCマサーのように)ここまでファンクを体で表してない」
正人「いやいや、あの、そんな必要ないです(笑) 彼らは、そんなことしなくたって、立派に音楽で表現してますから」
鹿野「(MCマサーと)中村正人さんとの関係っていうのはどういう感じなんですか?」
正人「ああ、近所なんです。散歩してると会うんです(笑)」
鹿野「一緒に歩いたり?(笑)」
正人「歩かないです。お互い、アーティスト同士なんで、意識してますね。私、一応、昔、DJだったんで」
鹿野「じゃあ、今日、あんまり失礼がないように」
正人「そんなわけで、今日は、鹿っぺとMCマサーで、ファンクの世界を1時間たっぷり語っちゃいます。その前にですね、1曲行きたいと思います」

(ここで、裏ワン2012/2013の『SWEET REVENGE』の映像がオンエアされます)

鹿野「凄い。凄いです」
正人「鹿っぺ、俺、こういうの(LINE LIVEのこと)やったことないんで、よくわかんないんだけどさ」
鹿野「ビューア数が増え方がえげつないです」
正人「どんくらい凄いの?」
鹿野「今、28万くらいです」
正人「28万って…」
鹿野「半端ないです。メッセージで、高校生の娘に夕飯作らせて、私のうのうと見てるって(笑)」
正人「それは良くないですね
鹿野「かなり食卓乱してます」
正人「それでね、俺、ちょっとこういうの触ったことないんで、わかんないんで、(視聴者からの質問&コメントを)紙にプリントアウトして」

正人が、紙にプリントアウトした視聴者からの質問&コメントを読み上げます。
☆「ESCAPE」を解説して欲しいです。この曲が収録されているのを見た時、思わず拍手してしまいました。
☆「PROUD OF YOU」を解説して欲しいです。
☆「LOVETIDE」を最初に持ってきたのはなぜ?
☆「SWEET REVENGE」解説希望。これまでとは違う曲調になり驚きました。

鹿野「今、(BGMで)『SWEET REVENGE』流れてます」
正人「ドリカムの中村がセンターでベース弾いててかっこいいですよ」
鹿野「ああ、もう、MASA目線ですね(笑)」
正人「今ね、LINEとかスペシャ見てる人、俺が…じゃねえや、中村がベースだっていうのを知らない人が多いんですよ。未だによくあるのが、『ドリカムの20年来のファンです。まささんのギターが素敵です』ってまだ言うんです。中村はベース弾いてますからね」
正人「あと多いのが、中村、6弦ベース弾いてんだけど、『ドリカムに6弦が必要か!?』っていう叩かれ方が激しいです」
鹿野「それはちょっと、ファンクの世界の音楽議論から言うと」
正人「この前、ハマ・オカモトと対談した時に、中村がなぜ6弦を使う必要があるのかっていうのを、ハマくんに一生懸命説明してたらしいですよ」
鹿野「やっぱり、超低音がモノを言う世界ですからね」
正人「そう、超低音がね、それは皆さん、わかってくれるらしいんですけど。なぜ、高い方が必要なのかって」
鹿野「ああ、上の方か」
正人「飾りじゃないのよ、高い弦は、ハッハーンって」
鹿野「中森明菜さんじゃないですか(笑)」
正人「ちょっと無理がありますけど。でも、そういう意味では、またここで解説しないで行っちゃいましょうかね」
鹿野「行っちゃうんですか(笑)」
正人「それでは、MASA DISCの解説行きましょう!」
鹿野「結構、サディスティックですね(笑)」
正人「ええ、そうそう、どうせ1回だけですから。1回で降ろされるってわかってて努力はしませんよ(笑)」
鹿野「わかりました(笑)」

正人「さあ、MASA DISCなんですけど。鹿野くん、これね、WATASHI DISC、MIWA DISC、MASA DISCと3種類あるんですけど、今日はその内のMASA DISCということでね」
鹿野「1番エグいDISCと呼んでも構わないですか?」
正人「ああ、でもね、鹿野くん、それはね、そうなるはずだったんですけど、ところがね、吉田美和が選んだMIWA DISCはもっとエグいの。だから、エグさで勝負しようと思ってたMASAは、結構、今、厳しい立場に」
鹿野「やられちゃってるんですね(笑) ああ、そうなんですか(笑)」
正人「でね、こっちは、ドリカムの正人氏が選んだ楽曲が詰まったDISCなんですけど、ファンクっぷりが半端ないわけですよ」
鹿野「半端ないですよね」
正人「ファンク&ソウルですね」
鹿野「しかも、そのファンクっていうものの意味合いが、やっぱりその、音で得る楽しいだけではない」
正人「おっと!」
鹿野「いろんなファンクがこの中に入ってるのをキャッチしちゃいました」
正人「俺、今ね、鹿野くんの話聞いてね、ロキノン系、やっと来たなって」
鹿野「俺、じゃあ、今日ね、頑張って、それも背負ってしゃべるわ」
正人「ホント?」
鹿野「頑張ります」
正人「なんか、ついに、ロキノン系と、ドリカム…なに?商業ポップ?」
鹿野「産業ポップです」
正人「ロキノン系と産業ポップが融合する瞬間を…これ、歴史的な瞬間だからね」

正人「で、ファンクファンクってみんな言ってるけど、星野源ちゃんもファンク取り入れて凄いですけど、いったいファンクって何よ?って思ってる人、たくさんいると思うんですよ」
鹿野「はい」
正人「よーし、鹿っぺがちょっと教えてくれる?」
鹿野「ファンクってのは、ちょっと黒光りする音楽。アフリカ系の黒人の方が中心となって、ヒップホップとか、リズム・アンド・ブルースとか、まあ、そこにいろんな要素を含めて、そして楽しもうぜ!っていうところから生まれていった音楽というふうに、僕は自覚してるんですけど」
正人「まあ、確かに」
鹿野「マサさんはどういうふうに?」
正人「僕ね、ファンクの入り口は、ファンカデリックとか、ショーアップしたその辺から」
鹿野「ビー・ファンク」
正人「ビー・ファンク、ブーティー・コリン、その辺からはじまりまして、でも、ホントになんかこう商業ファンクになってきたのを考えると、入り口はこう、クール・アンド・ザ・ギャングのジャングル・ブギーとか、ファンキー・スタッフとか、まあ、その辺」
鹿野「更に、それを拡大解釈していったのが、アース・ウインド&ファイアー」
正人「アース・ウインド&ファイアーであって、まあ、後期クール・アンド・ザ・ギャングでもあります。まあ、でもね、当時はね、アースもね、やっぱりファンクじゃない、ソウルじゃないって言われた時代もあったんですよ」
鹿野「そうなんですか?」
正人「はい。ファンク・ミュージックとか、ソウル・ミュージックは、こんな言い方する変ですけど、白人層にウケて、初めてポピュラー…ポップになる」
鹿野「そうですね」
正人「まさに、マイケル・ジャクソン然り、そんな感じですよね。僕は…って言うか、MASAはね、その辺の70年代のちょっと泥臭さも残しながらも、ソフィスティケイテッドされはじめた頃のファンクが大好きですね」
鹿野「セクシーな」
正人「セクシーな」

正人「あとはちょっとメロで行くと、オハイオ・プレイヤーズとか。でも、あの当時は、クール・アンド・ザ・ギャングもそうですけど、インストと歌物が半々くらいでしたよね。アルバムの中で、ヒット曲のものも入っていれば、自分達がやりたいものも入っていて、その辺がアルバム作りではいいなと思ってますね」
鹿野「あの、ファンクって、凄い、本物の音楽じゃないですか? 自分の音を鳴らしてる人は、肉体から出てくるという感じがするから、隙間が多いんですけど、でも、その隙間すら、生きてるみたいな感覚があるし。更に言うと、汗と、血と、同様の涙まで流れるという、それはやっぱり蔑まされた黒人の気持ちみたいなものがある。その楽しい音楽の中に。そのセンチメンタルなリズムとファンクが合わさってるところの、それを日本風に解釈したのが、僕はドリカムであると、DREAMS COME TRUEじゃないかと思う」
正人「やっぱり話を聞いてると、吉田美和の詩っていうのは、皆さん、心に突き刺さっていただけてるので、その辺のものと、ファンクをぶつけることによって。当時、音楽の作り方って、異種格闘技戦で、こっちの要素と、こっちの要素を、こう持ってきたらどうなるんだ?って時代だったんですよ」
鹿野「ああ、80年代の終わりから」
正人「80年代の終わりから90年代。ご存知のように、やっぱり音楽って、ロックもフォークもポップスもヘビメタも、何から何まで、70年代の後半に完成して、80年代に成熟して、そこからループに入っていくじゃないですか?」
鹿野「そうでうね。再解釈ですね」
正人「再解釈。だから、R&BがR&Bになって、今、J-FUNKみたいになってますけど。ですから、そう考えると、ドリカムは、その最後の波に乗り始めた…ちょうど、ブルー・アイド・ソウルがロンドンって言うか、イギリスを大盛り上げてて、カルチャークラブもそのひとつだし、ファイン・ヤング・カニバルズもそのひとつだし、まさに、そのファンクから、スムーズソウルに来たところで、スウィング・アウト・シスターとか出てきて。なんかちょっと、うちとスウィング・アウト・シスターは似てますけども。あ、うちじゃねえや、ドリカムと(笑) でも、まあ、それ必然だったんじゃないかなって思ってます。その辺の流れ」
鹿野「ただあの時代って、ちょうどテクノとか、デジタルなものが世の中に割と入ってきた時代ですよね? 音楽的にも、ハウスミュージックとか、そういうなんて言うのかな、ディスコじゃなくてクラブなんだって、そういう時代になりかけてた時に、僕は、ドリカムは敢えて、土臭い、このディスコで、ファンクな音楽を歌謡曲的なものと合わせてやっていたように見受けられたんですよ。それはどういう気持ちだったんでしょう?」
正人「ただね、もうその辺は、もう既に、ドリカムの前に久保田くんがいて、もっと言えば、山下達郎さんや吉田美奈子さん、もう既に日本では、洋楽から直接入ってきたファンクやソウルミュージックをベースとしたニューミュージックっていうのはかぶさってきたので、ドリカムが実は初めてというわけではなくて、ドリカムで、先輩方々がやってきた70年代のフィリー・ソウルも含めて、例えば歌謡界で言えば、筒美京平さんとか、その辺が、ドリカムでわかりやすくなって、たまたまそんな感じてきちゃったかなってて、ドリカムは、あいつらはラッキーだったと思いますよ」
鹿野「いろんなものを見て、解釈していった結果、ドリカムがブレイクしたって言うことですね」
正人「もしそう言っていただけたら、彼らは嬉しいって言ってると思いますよ」

(ここで、「最近あったファンクな出来事」の話題があり、MASA DISCの曲を流すことに

正人「さあ、そんなファンクたっぷりのMASA DISCの曲を流してみましょうかね。あっちゃん、何が聴きたい?」
鹿野「やっぱり、『IT'S SO DELICIOUS』とか。まさにファンクっていうのはこういうものだってのを音が表してるんです。歌もファンクしてますし。リズムもファンクしてますし。ちょっと、この辺で、皆さんに、ファンクというのが何なのかっていうのを知ってもらおうと」
正人「これ、ベース難しくないから、あんまりかけたくないんだけど」
鹿野「なんですか(笑) 最っ高のベースじゃないですか」
正人「ベース難しいんですよ。じゃあ、ちょっと聴いてみようかね、ハイ、『IT'S SO DELICIOUS』!」

(イントロがはじまると同時に、「あ、キタ!」とノリノリで、超・ご機嫌な様子の正人)
(この辺りの話が、何度か巻き戻してみたのですが、よく聞き取れませんでした…)

正人「(中略)ゲームコンピューターに、ミュージックコンピューターが入り込んで」
鹿野「正人さんは、そういうの、お詳しかったんですか?」
正人「いや、詳しくならざるを得ないって言ってました。なぜなら、3人だけでやりたかったみたいだから、彼らは。やっぱりバンド。当時、中村はね、TMネットワークを見ていたから。で、3人だけでシーケンスを使って演る。今で言う、カラオケとか、そういう時代じゃないんでね。シーケンスを使って演るという形態を初めて見て、これは行けると思った。それなら、3人だけで、どこ行ってもライヴ出来るということで、当時、中村はオケを打ち込んで、それをカセットテープに入れて。例えば、20曲のコンサートだったら20本カセットテープ準備して。1曲にひとつ。で、それを、『こんにちは、DREAMS COME TRUEです。それでは、1曲目』って言って、カセットのプレイボタン押して」
鹿野「まだカセットですか? DATでもなくて?」
正人「カセットですよ。DATなんて、まったくないです。だから、僕、ベース弾きながらカセットテープ入れたり出したりする仕事でした」
鹿野「でも、ドリカムって、早くからブレイクしてて、あんまり下積み的な印象がないんですけど」
正人「下積みだらけでしたよ、あいつら。だいたい中村は、デビューした時が30歳でしたからね、もう。関係者からは、どの面下げて30歳でデビューするんだ?みたいな感じでしたから。結構いじめられましたよ、中村は。まあ恨んでますけどね(笑)」
鹿野「確実に中村さんは勝算があったわけですか?」
中村「勝算はありましたね、はい。やっぱり吉田美和という素晴らしいシンガー、パフォーマーと、西川というカッコイイ男の子もいましたから、イケると思いましたね」
鹿野「当時、お2人と共に、中村さんは自分の武器を何だと思ってたんですか?」
中村「自分の武器はマネージメント力だと思ってた」
鹿野「やっぱり30歳ならではの?」
中村「はい。吉田美和と出会った時は、吉田美和で稼ごうと思ってました(笑)」
鹿野「(笑)でも、そういう女性と出会えるのって、本当に大切ですよね?」
中村「はい、もう、やった!と思いました」
鹿野「最近だと水曜日のカンパネラの方もそう言ってましたね」

中村「さあ、次のファンクな曲行きましょう。次のファンクな曲は俺が選んでいきましょう。私ですね、『LOVE TIDE』。どんな態度でLOVETIDE?なんて(笑)」
鹿野「さっき、これを1曲目にする理由は?という質問がきてましたけど」
中村「そうそう、これね。MASA DISCは僕が並べたんですけど、曲順。やっぱり、これはつかみがいいですね。(流れ始めたイントロを一緒に歌ってみせて)これ、いいですよ。自分でアレンジしてて興奮しますからね」
鹿野「これ、だから、1曲目と、あと最後のほうが、そういう、ちゃんと華やかに始まって、華やかに終わるというふうに設置されてますよね?」
中村「ありがとうございます」
鹿野「しかも、中程くらいから、泣ける曲で、ファンクのせつなさみたいのも出してあって」
中村「そう、MASA DISCそうなんです。中盤からファンクファンクで押さなくなってきましてですね。そう、例えば、『週に1度の恋人』=まさに中村と吉田が出会った曲ですけれども。『雨の終わる場所』=当時、ドリカムはシャーデーのプロデューサーのマイク・ピラにプロデュースしてもらってたんですけど。シャーデーともダチ(友達)なんですよ。シャーデーが超きましてね。シャーデーのレコーディングの後、すぐ俺達だったんですよ。だから、シャーデー達と会っちゃうですよ。シャーデーがよく言ってくれました、『ドリカムがレコーディングのスケジュールを入れててくれたから、ニューアルバムが終わったんだ』と。だから、シャーデーに影響されたんですよ、これ(『雨の終わる場所』のこと)。シャーデーみたいな曲が(頭の中に)聴こえてきたなって、中村が言ってましたよ、はい。非常にこれもいい曲ですよ。この頃はドリカムよかったですね、この頃は」

中村「さあ、次のファンクいきましょうか、次は選んでいただいていいですか?」
鹿野「僕ね、『なんて恋したんだろ』、聴きたいです」
中村「おっ、『なん恋』ですね。これはね、吉田美和がね、ジャングルとかヒップホップとかに凄いきちゃって、中村はだいたい70年代っぽいアレンジしか出来ないから、だから、DJ的な楽曲の作り方が出来なかったんですよね。例えば、サンプリングするとか、あと、リズムがまっすぐ行かない…(リズムをやってみせて)あれがどうしても嫌で、俺は(リズムをやってみせて)で、でもDJ達は(リズムをやってみせて、レコードをDJ風にまわしてみせて)」
鹿野「納得いかなかったんですね。でも、美和さんはやりたかったと」
中村「だから、『the Monster』ってアルバムなんですけど、ホントに苦労したアルバムです。で、自分がいかにダサいかよくわかりました。もう俺の時代じゃないなってはっきり、中村はわかったみたいですね」
鹿野「時代が変わってるんだなっていうのを中村さんも意識して、そこで、自分の音楽的なものをアップデートできた作品だったということですね?」
中村「アップデートできたかどうかわかんないですけどね。ただ、こんなヒップホップ&ジャングルなのに、(吉田美和は)『おうどん』歌ってますからね。俺にアップデートしろって言っておいて、あいつは全然アップデートしない。『おうどん食べた~』って」
鹿野「そこがいいんです。日常的なんだけど、夜のクラブ的な、これドラムンベースになってるんですよね」

中村「次の曲いってみましょう、『i think you do』」
(イントロが流れ始めると同時に、すぐに語り始めますます)
中村「中村がね、シンセサイザーいっぱい持ってたんですけど、あいつの趣味が、プログラムされた音をそのまま使うのが大好きだった。しかも、その音をずーっと聴いてるんですよ、何千音色。で、何千音色聴いてる内に、それでこの曲を書いたんですよ。これいいですよ」
鹿野「中村さんは、昔から、相当、音楽オタクだったんですね」
中村「中村はね、音楽ファンですね。マニアじゃないです。彼らの世代はですね、ベストテンやトップテンの時代で、ソウル・ミュージックも、ロックも、フォークも、歌謡曲も、全部、毎週、トップテン番組を聴けばればわかる時代だった。ジャンルなんか、もう全然なくて。カーペンターズもいれば、ビートルズもいて。一方、スティービー・ワンダーもいて、アースもいて。キャット・スティーヴンスもいて、レターメンもいたという。そういうの大好きですね」
鹿野「そういう時代に中村さんは、どういう音楽を作って、そういう人達と肩を並べたい、もしくは、自分達もそういうふうになっていきたいと思ったんですか?」
中村「う~ん。中村は適当だったんですよ。音楽やりたいなんて言って大学中退して、結局ね、バイトしかしてなかった。人生を逃げる理由にしてたんですね、あいつは。大学も嫌いだったし、付き合ってた彼女にふられましたね」

鹿野「(視聴者からの質問を読み)まささん、『SWEET SWEET SWEET』の解説もお願いします」
中村「『SWEET SWEET SWEET』はね、僕ね、マーヴィン・ゲイとダイアナ・ロスのデュエット曲が大好きで、ダイアナ&マーヴィンを吉田美和にどうしてもさせたかったんですよ。当時、イギリスに凄い優れた男性シンガーがいて、彼と知り合ったことで、この2人の為に書いた曲が『SWEET SWEET SWEET』。これ、いい曲ですねえ」
鹿野「歌の中で、男女のSWEETな様子を表現しようと?」
中村「はい。ここまで、アドリヴを大胆にフィーチャーするのはなくて、アドリヴってのは、フェイクでもそうですが、感情をメロディーにふっと出るのがアドリヴじゃないですか?その出たメロディーがスタンダードになって欲しいって思うんですよ。例えば、『ホテル・カリフォルニア』のソロみたいに。(歌ってみせて)あれ、一音違っても嫌じゃないですか?吉田美和のアドリヴも、名アドリヴっていうのを出して欲しくて、はい」
鹿野「しかも、そのアドリヴを修正しちゃうと、スタンダードにはなりにくいですよね?」
中村「ザッツライト!(その通り!)」
鹿野「化学反応が起こらないと言うか」
中村「音楽ライターみたいですね」
鹿野「目指します。今日から目指します。頑張ります(笑)」
中村「ロキノンは間違ってないですね」

(ここで、裏ワン2012/2013の『i think you do』の映像がオンエアされます)

中村「ファンクな質問、『結婚式を台無しにする1曲は何ですか?』」
鹿野「いい質問ですね(笑)」
中村「選んであげましょう。MASA DISCに入ってる『さよならを待ってる』」
中村「(曲が流れはじめ)これは、ジョディ・ワトリーとかのソウルがきた辺りで、これいいなあと。キーボーダーで、ジェーン・チャイルドだったかな?白人系が作ったその辺がかっこ良くて、影響されて作ったみたいですけど。これで結婚式台無しです(笑)」

中村「(次の質問)『最近ドリ内であったファンクなケンカはありましたか?」
中村「知りません、ドリカムのことは」
鹿野「でも、なんとなく、聞こえ伝えられる感じだったら、どんな感じなんですか?」
中村「あのね、吉田の性格は相変わらず悪いですね、中村に対する。全世界にとっては吉田美和はヴィーナスなんですけど、中村にとっては、あれはもう悪魔ですよ」
鹿野「ということは、中村さんというサンドバックがあるからこそ、吉田さんはああやって輝いているというわけですね」

中村「ドリカムについて知りたいことはないですか?」
鹿野「僕、すごい知りたいことあります。やっぱり本人に聞くと謙遜されちゃうと思うんですけど、こうやって、マサーのような媒介人に聞くと、ちゃんと教えてもらえると思って」
中村「第三者ですからね」
鹿野「ドリカムが日本のシーンを変えた部分はどういった部分なんですか?」
中村「何も変えてないですよ」
鹿野「そんなことはないですよ」
中村「ドリカム編成を作ったくらいじゃないですか?」
鹿野「ドリカム編成っていうのは?」
中村「男2人女1人。その後、ELTでしょ?globeでしょ?いっぱいあるんですよね。でも、僕らは古舘伊知郎さんに『平成の青い三角定規』って言われました。(『太陽がくれた季節』を歌いはじめ)イントロのサスフォーは衝撃的でしたね。あれで僕はサスフォー(音楽コード)を好きになりました」

鹿野「あとは、ライヴの中でのエンターテイメントを、あれだけ明確な形で魅せてったっていうのも、今のライヴエンターテイメント時代のひとつの先駆けを、自らやったっていうのもあるのではないですか?」
中村「いや、おっしゃっていただくんですけど、当時、レベッカさんにしても、米米CLUBさんにしても、皆さん、ライヴエンターテイメントっていう意味では素晴らしかった。アメリカから輸入したりしていたソウルショー、ファンクショーもそうですけど、それをベースとしたものもあった。当時は、アース・ウインド&ファイアーもそうです。ジャクソンズも、マドンナも、プリンスも、そういうライヴが当たり前だったんです。ライヴエンターテイメントが当たり前だった。だから、何の疑いもなく、そこに突っ走ってましたね。で、ロック系もセットとか凝ってたんですよ。ジェネシスとか、ピンク・フロイドとか。ですからね、僕、ハートはロキノン系なんですよ、告白すると」
鹿野「(笑) なんか、たまに寄ってきますよね?(笑)」
中村「ハートはロキノン系なんですよ。だから、愛してやまないロキノン系に叩かれたことがやっぱりショックだった。…あと1分でVTRにいきます(笑)」

(ここで20thツアーの『go for it!』の映像がオンエアされます)

鹿野「まささん、このベースかっこいいです。グルーヴ感があって」
中村「ありがとうございます。僕…じゃねーや、あいつはベース褒められたことないんですけど、ありがとうございます」
鹿野「(視聴者からの質問)『MCマサーのリスペクトしているミュージシャンが知りたい』」
中村「やっぱり僕は、モーリス・ホワイトを筆頭に、でも、すべての先輩をリスペクトしています」
鹿野「今年ね、モーリス・ホワイト、そして、プリンスと、ファンクの巨匠がお亡くなりになりましたが」
中村「プリンスは特に同い年なんですよね。ホントに俺はプリンスになりたいです。プリンスは最高です。残念で仕方がないです。でも、プリンスの音楽は残っていきますから。プリンスの死をもって、作品が再評価されるってことは、やっぱり僕達がやらなきゃならないことだなって」
鹿野「語り継いでいきましょう」
中村「はい」

中村「次回の配信は、6月28日(火)19時からです。MCはなんとあの、海音寺潮二郎でございますからね。これはあの有名な海音寺潮五郎さんとは全く関係のない海音寺潮二郎という作家がいるんですけど、そいつがMCだそうです」
鹿野「(中村さんが)やられるんですか?」
中村「やられるんですかって人聞きの悪いこと言わないで下さい。俺がやるわけない。そしてあの、観音崎すみれが初めて世の中に登場いたします!」
鹿野「これは、ファン的にはとんでもないことなんですよね?」
中村「ドリカム的にもとんでもないことです。ダメ元で頼んだら、出るって言うんですよ。それだったら、今日から出て欲しかったです」
鹿野「そうですよね。ホントにそうですよね(大笑)」
中村「なんで、そこだけ出るんだって。あとは、いろんな番組出て欲しいです。ミュージックステーションも出て欲しいし、SONGSも出て欲しいし」
鹿野「そうですね。それも来週の1時間次第ですね。頑張って盛り上げていただいて」
中村「わかりました。WATASHI DISCを特集いたします。それでは、1時間ありがとうございました」
鹿野「楽しかったです。もうちょっとやりましょうよ」
中村「またやる?お相手は鹿っぺとMCマサーでございました。それでは」