■せかいの終わり
この曲の中で、「せかいの終わりも あなたがいればこわくない」という歌詩があります。
「せかいの終わり」・・・美和ちゃんの中からこういう言葉が出てきたことは、彼女自身も驚いたそうですが、私にとってもかなりの衝撃でした。
美和ちゃんは、「せかいの終わりも あなたがいればこわくない」と言っているけど、もし私だったらどうなんだろう。
もし私だったら、たとえ、「あなた」がそばにいたとしても、「せかいの終わり」はやっぱりこわいんじゃないかなって思うんです。
まだ、具体的に「あなた」という存在がいないから、わからないだけなのかもしれないけど・・・。
考えていくうちに、ふと思い出したのが、映画「タイタニック」です。
船が沈没していくシーンで、みんなが先を争うように救命ボートに乗り込んでいく混乱の中で、ひとつの船室で、老夫婦が共にベッドに横たわり、手を握り合っているシーンがあったんです。
これは実在の夫婦の話らしいです。夫人は助かるチャンスがあったにもかかわらず、救命ボートに乗ることを拒否し、夫と共に死を迎えることを選んだそうです。
「あなたがいればこわくない」・・・この曲は、こういうことを言ってるのかもしれないなって思いました。
それから、もうひとつ思い出したのが、中学生の時に読んだ、新井素子さんの「ひとめあなたに・・・」という小説。
もう手元にその本が残っていないので、ちょっと記憶があやふやなのですが、すごく簡単に説明すると、「せかいの終わりの1週間、1人の女の子が遠く離れた恋人に会いに行く」というストーリーです。
「1週間後、巨大な隕石が地球に衝突」というニュースにより、全世界が混乱し、人々はパニックに陥ります。
飛行機も電車も止まり、外に出れば、自暴自棄になった人達に何をされるかわからないという危険な状態の中で、主人公の女の子は、遠く離れた恋人に会いに行きます。死ぬ前に、ただひたすら、彼にひとめあいたくて・・・。
「その人のそばにいたい」と思うことが愛なのか、それとも、「そばにいれなくても、その人が幸せであることを願う」ことが愛なのか、以前、ある人に尋ねたことがあります。
その人の答えは、「どっちも愛だと思う。愛にもいろんな形があるんだよ」という答えでした。
ドリを好きにならなければ、こんなにも「愛」について、深く考えることはなかったんじゃないかと思います。
アメリカの同時多発テロの特集番組の再現ドラマの中で、自爆した飛行機の機内にいた人達が、携帯電話を使って、最期に家族に伝えた言葉は、「愛しているよ」という言葉でした。
それを見た時、涙が止まらなかった。「すべては他でもなく、やっぱり愛なんだ」という美和ちゃんの言葉が頭の中に浮かびました。
愛の形はほんとに様々で、国によっては、私達が理解できない形のものもあります。
「“愛”という名の下に戦争が起こることもあるんだ」と、以前、まささんが語っていました。
私たちの力では、結局、どうすることもできないことが、今の世界には、本当にたくさんあると思います。
でも、やっぱり、大切なことは、人を愛すること・・・何が無くなったとしても、1番最後に残るのは、人を愛する気持ちだと思います。
ひとりひとりが、周りの家族や友達、恋人を愛するということが、本当に、この世の中で、何よりも大切なことだと思う。
その小さなひとつひとつが、世界を平和にすることにも、つながっていくんじゃないかと思います。